横瀬智也BLOG

平家物語とメディアについて

平安末期~鎌倉初期と言えば日本史の授業でも、古文の授業でも定番ですが、意外にも、平家に、ターゲットを絞ったメディア戦略は、なかなか難しいように思われます。

たとえば、平家物語、吾妻鏡などの人気や知名度から比べると圧倒的にゲーム化されることは無い平安末期〜鎌倉初期ですが、実はかつてゲーム化されたことがあります。

コーエーの源平合戦がそれになります。比較的短時間で遊べるゲームですが、平家物語に出てくる登場人物などがかなり網羅されており(とくに平家一門)、藤原景清、平盛国、平教経などもしっかり出てきます。

ただ、平家物語をテーマにするのはなかなか難しいようで、その後のNHK大河ドラマでも清盛を主人公にしたものは低視聴率を記録してしまうなどなかなか企画としては難しいのかもしれません。一方で源義経を題材にしたものは同じ内容でも人気が出ることが多く、事実上同じような内容でも切口次第で扱われ方が変わってくるというメディア戦略のお手本のような題材でもあります。実際、NHK大河ドラマ義経では、平家一門のエピソードにかなりの時間が割かれており、事実上裏の主役といえる平家ですが、義経を主人公とすることでドラマの訴求力を高めています。

話をコーエー「源平合戦」に戻しますと、これもマーケティング的には成功したとは言えませんがとてもよく出来た内容となっていました。主人公を義経にすれば、売上に繋がったのかもしれませんが、それでも清盛の一門がほぼ網羅されているということは、特筆すべきことでしょう。もちろん、源義仲や巴御前も武将として登場します。

清盛が死亡するとcomだと自動的に後継が教盛になってしまうなど「?」な点もありますが、作品自体は秀逸だといえる内容でした。源平合戦がリリースされたのは1994年ですが、なぜこのタイミングだったのかというと、恐らくNHK人形スペクタクル「平家物語」が、1993~1995まで放送されていたということも関係しているのかもしれません。

清盛や頼朝を主人公にしたものは市場から支持されにくいのかもしれませんが(実際源頼朝が主人公のものは義経に比べて圧倒的に少ないように思います。)今後も、義経を中心にして、この時代を取り扱った作品は多く作られることでしょう。

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